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「アフラ・マズダー」★★☆☆☆

Naqsh i Rustam. Investiture d'Ardashir 1.jpg"Naqsh i Rustam. Investiture d'Ardashir 1" by Photo Ginolerhino 2002 - Artaban V. Vers 230.. Licensed under CC 表示 2.5 via ウィキメディア・コモンズ.

アフラ・マズダー (Ahura Mazdā)は、ゾロアスター教の最高神である。
宗教画などでは、有翼光輪を背景にした王者の姿で表される。その名は「智恵ある神」を意味し、善と悪とを峻別する正義と法の神であり、最高神とされる。
アフラ・マズダー - Wikipedia: フリー百科事典 (2015/09/11 23:55 JSTの最新版)

評価:★★☆☆☆


「アフラマズダーを踏みつけに……」で有名なやつ。ゾロアスター教の最高神を鐙に描くとかスキタイ人もなかなか喧嘩を売るのがうまい。まあフィクションだけれども。『ヒストリエ』においてアフラ・マズダーはペルシアで広く信仰されている宗教の最高神と書いてあり、この説明はなかなかうまい。というのもアケメネス朝ペルシアにおいてアフラ・マズダーを信仰していたのは間違いないが、ゾロアスター教を信仰していたかは不明であるのだ。仮にアフラ・マズダーのみを信仰していたのなら、どのような教義であったのかが気になるところだ。

ゾロアスター教はよく「世界最古の一神教」と言われる。ただこの一神教というのはアフラ・マズダー以外に神が登場しないというわけではなく、崇める対象がアフラ・マズダー唯一つという拝一神教としての一神教である。ではなぜアフラ・マズダーのみを崇めるかというと、善悪の二元論であるゾロアスター教において、アフラ・マズダーこそが善と悪を分ける存在であり、最後の審判を下すのもこいつであるからだ。さらにこの世界を作り上げたのもアフラ・マズダーである。ただし後の教義でアフラ・マズダーは絶対的な存在から善を率いる神となり、絶対神はズルワーンとなる。

ゾロアスター教の教義の面白いところは、善と悪の戦いは最終的に善が勝つと決まっているというところだ。そして善の神々はアフラ・マズダーが自らの属性を実体化させたものである。一方で悪の神は違うようで、少なくとも頂点に立つアンラ・マンユは最初からいたようだ。アフラ・マズダーは審判と言っておきながら、完全に善側の立ち位置である。これ戦いとしてフェアじゃないだろ。これが法の神のやり方なのか。これはたしかにアフラ・マズダーを裁くための神が必要である。だから絶対神をズルワーンにとられたのか。贔屓は絶対神でも許されない。

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