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「屠殺」★★★★☆

The Butcher and his Servant drawn and engraved by J Amman Sixteenth Century.png
"The Butcher and his Servant drawn and engraved by J Amman Sixteenth Century" by Jost Amman - Paul Lacroix, 'Manners, Custom and Dress During the Middle Ages and During the Renaissance Period', available freely at Project Gutenberg. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

屠殺(とさつ)ないし屠畜(とちく)とは、家畜等の動物を殺すことである。「屠」は「ほふる」の意であるが、近年の日本では、「屠」の文字が常用漢字ではないことから、と殺やと畜と表記されることも多い。一般的には食肉や皮革等を得るためだが、口蹄疫などの伝染病に感染した家畜を殺処分する場合にもこの語が使用される。
屠殺 - Wikipedia: フリー百科事典 (2015/09/06 14:16 JSTの最新版)

評価:★★★★☆


主に家畜を殺すときに使う言葉。常用漢字ではないと言う理由で「と殺」とも書くそうだが、それは言い訳に過ぎず「障がい者」などと同じように差別用語だと考えている人がいるからではないかと思うのだがどうだろうか。「屠」は「ほふる」であり、辞書にはこう書いてある。

1 からだを切りさく。また、きり殺す。「獲物を―・る」
2 敵を破る。打ち負かす。「対戦相手を軽く―・る」
ほふる【屠る】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

古い本には敵を破ると言う意味で「屠る」が普通に使われており、印象に残っているものとしては『ガリア戦記』がある。あれでは敵を追撃し、一方的にガリア人を倒すときは「屠った」と表現していた。使い方とかから考えてみると、「屠」そのものが良くないというよりは、屠殺人が差別されていたために「屠殺」までも差別用語になったのではないかと思うのだがどうだろうか。しかし、「屠殺」という言葉の絶対に殺すという感じはすごい。

日本における屠畜は仏教のせいで長い間あまり一般的なものではなかった。だが何事も例外があるわけで、獣肉を健康のための「薬」と称して食べるということは行われていた。このへんはイスラム圏におけるコーヒーや砂糖の歴史に通じるものがある。宗教が食品として摂取することを禁じるならば、薬として摂取すればいいのである、と。そして明治以降は日本でも屠殺は増えていったが、被差別部落の問題ともからみつき、屠殺関係者への差別は現代においても見られたりするという。これ漁師についてはそこまで差別の話を聞かないし、「漁」が差別用語になっていないことを考えると、命を奪うかどうかってのはあまり重要ではないと思う。

あまり差別の話ばかりにも焦点を当てても面白く無いので、屠殺方法についても触れる。正しい屠殺方法というと、よく「動物が苦しまずにすむ方法」が大事ということになるけれども、文化によってはこれ以外にも重要な点がある。例えばユダヤ教のコーシェルの一つには血は命ということで、完全に血を抜かなくてはならない。一方でモンゴルの場合では大地を血で汚してはならないため、頸動脈を指で引きちぎり、家畜の体内に血が溜まるようにして殺す。そして血の一滴も無駄にしないため、ブラッドソーセージにして食べる。文化が違うというのはこだわりのない外から見てると単純に面白い。