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「ハンディキャップ理論」★★☆☆☆

Peacock Closeup.jpg"Peacock Closeup" by Janderk - 投稿者自身による作品. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

ハンディキャップ理論(ハンディキャップりろん、Handicap theory)とは、1975年にイスラエル人の生物学者アモツ・ザハヴィ(Amotz Zahavi)によって提案された動物の一見非適応的な(個体の生存の可能性が減少するような)形態や行動の進化を説明する理論である。また生物が発する信号に関する理論(シグナル理論)の重要な概念でもある。
ハンディキャップ理論 - Wikipedia

評価:★★☆☆☆


本来動物は合理的であるはずである。それは形態についても言えるし、行動も知能に見合ったレベルで言える。動物に無駄なものは無く、無駄な行動はしないのだ、と。しかし中にはそれが当てはまらなそうなのもいる。この「動物の一見非適応的な形態や行動」の例として有名なのが、ガゼルやクジャクだ。ガゼルは捕食者に出会うと逃げる前にぴょんぴょんし始めるし、クジャクの雄は無駄に派手な無駄に派手な羽を持つ。ハンディキャップ理論はこれらが合理的なものだと説明する理論だ。

この理論の核は「無駄なことができる者は、その余裕がある分だけ強者である」というものだ。ガゼルの例ならば、捕食者が近づいているのに無駄に跳ねることの余裕がある = 走力が高いことをアピールしているわけだ。そして捕食者の方もこれを見て、余裕のある獲物より余裕の無い獲物を狙おうとする。なぜなら余裕がある獲物は走力が高いため捕まえるのが難しく、成功率が低い = コストの高いものとなるからだ。したがって、ガゼルが跳ねることは、ガゼルにとっても捕食者にとっても合理的な行為となる。なお、弱者が真似すると逃げそこねて死ぬ。

このハンディキャップ理論の面白いところは、動物だけでなく人間にも当てはまるというところだ。よく例に出されるのが、企業が高卒より大卒に給料を払うという話である。受験勉強も大学での勉強も役に立たないなんて言われるが、大卒はその役に立たないものをあえてやれたほど余裕があるとなる。だから企業は大卒には能力があると判断するのだ、と。これが大学に行くことが純粋に役に立つものであると、余裕のない者も行くことになるので、選抜にならない。したがって自分がいかに有能であるかを示したければ、無駄なことをたくさんやってアピールするといい。なお、弱者が真似すると、必要なことを行うリソースが足りなくなって死ぬ。

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