ポリウォーター(polywater、重合水)もしくは異常水(anomalous water)は、1966年にソ連のボリス・デリャーギンが発見したとする、水の特殊な状態。その報告から存在が否定されるまでに起きた一連の学会の熱狂と社会現象はポリウォーター事件として知られる。
ポリウォーター - Wikipedia
評価:★★☆☆☆
水のSTAP細胞。もっとも、ポリウォーターの方が先であるし、スケールもこっちの方がはるかに大きい。なのでSTAP細胞が捏造とわかった時は、このポリウォーターと比較した人も結構いた。結局この手の事件は対象となる物が異なるだけで、流れとしては同じになるのだろう。目立ちたい人が正規の大発見を捏造し、それをマスコミも大衆も盛大に持ち上げる。そして追試が行われてことごとく失敗。失敗するのは実験の仕方が悪いと言い訳するも、捏造が確定する。そしてその分野全般が怪しげな目で見られるというわけだ。
このポリウォーターの作り方は非常にシンプルだ。
- 直径5~20µmのガラス管内で凝結により水を得る
- ガラス管から水を取り出す
基本的なところはこんな感じとなる。これほど単純なのにポリウォーターの特性は常識を超えており、水と比較すると以下のとおり。
- 粘性:15倍
- 熱膨張率:1.4倍
- 融点:-30~-15℃
- 沸点:150~400℃
そして水よりも安定していることから「ひとたびポリウォーターが自然界に放たれると凝縮核として作用し、地球上の水を全てポリウォーターに変化させてしまう」ともまで言われたらしい。これなら一度に作れるのがわずかでも、通常の水に1滴たらせば大量にポリウォーターが手に入る。すごい。もちろんポリウォーターなるものは実在しないので、そんなことはない。ポリウォーターの真実は容器壁面から混入したシリコンのせいということであった。そういえばSTAP細胞も混入ということで決着がついていたな。
どうも人は水に特別な何かを求めたがるものらしい。確かに水には不思議なところがある。ちょうど0℃で固体化し、ちょうど100℃で気体になるところとか。だからといって水に記憶力や言葉を認識するところまで求めるのはさすがに無理がある。ポリウォーターという事件があった後も、水関連のオカルトが次々出てくるのだからまったくもって手に負えない。もう水は規制したほうがいいのではないだろうか。003年にはアメリカ・カリフォルニア州アリソ・ビエホ市の議会で、実際に規制をしようとしたくらいであるし。
- 作者: Felix Franks
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