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「産後クライシス」★★★☆☆

産後クライシス(さんごクライシス)は、出産の後に夫婦の仲が悪化する現象を指す日本の表現。
産後クライシス - Wikipedia

評価:★★★☆☆


この産後クライシスという名前は日本で、それも作られてまだ数年しか経っていないが、この現象そのものは古今東西どこでも起こっている。これの面白いところ、と言うと不謹慎感があるが、興味深い所はアカデミックな世界ではよく知られた現象であるのに、日本の一般社会では直視されていなかったということだ。どこでも起きているということは個人の問題ではなく、生理現象と考えたほうが正しい。しかし、ちゃんとしていれば起きるものではなく、産後クライシスになるということは何か個人の責任で問題があったとされていた、ということであろうか。

どうしてこのようなことが誤解が生じるのか、と考えた時に思い出すのは「多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」というカエサルの言葉だ。出産というのはいよいよ夫婦生活が新たに始まるものであり、これまで以上に夫婦が協力して事に当たらなくてはいけない。そう信じている人達にとって出産がきっかけで夫婦仲が壊れる、それもそのような仕組みになっているというのは理想と正反対で信じられないのだろう。とすれば個人の問題にしたくなるのも当然の帰結だ。

この問題の解決策として、ありがちなのは夫がもっと妻を気遣う・手伝うというものがある。しかし記事にもあるようにこれは個人の問題にしているのとなんらかわりはない。なぜなら夫がどんなに努力したところで妻の機嫌が損なわれたら、それは夫の努力が足りないということになるからだ。この産後クライシスに限らず重要なのはこのような現象が起きるのは当然であり、どちらか一方に責任があるわけではないと知ることに尽きる。知っていれば必要以上に不安がることも消耗することもない。そういう意味では一番問題をこじらせている原因は理想像なのだろう。