"Kyoto Station overbridge crowd accident" by 毎日新聞社 - 毎日新聞社「写真昭和30年史」(1955年)P44. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
将棋倒し(しょうぎだおし)は、
- 将棋の駒を使った遊び。
- 1を比喩に使った多数の群集が連鎖的に転倒する事故。
評価:★★☆☆☆
当たり前だが遊びのほうが先である。しかし、記事の内容は事故の方に多くを割いている。どう考えても事故のほうが事件として大きいのだから仕方ない。これがまた、将棋倒しの歴史を遡ると古代メソポタミアまで辿り着き、なんてあればまた違ったのかもしれないが、そんなことはなかった。将棋倒しという遊びが古くからあるのは確かであっても、具体的にいつからかは書かれていない。「将棋倒し 歴史」でぐぐっても事故の方ばかりなので今日の所は諦めた。
さて事故の方の将棋倒しであるが、こちらの方もそれなりに歴史ある表現のようだ。14世紀の『太平記』において、楠木正成が城の上から大木を落として敵を撃退した所に記されている。そこには「将棋倒しをするごとく」となっており、これがおそらく文献上での初出とされている。最近の事故とは違って、リアルに歩兵が倒されていくのだから、これほど「将棋倒し」という表現が適切なものもないだろう。これがきっかけで将棋倒しが生まれたと言ったら信じる人は多そうだ。
気になるのが、最後に書かれている「将棋倒し」使わないで=明石の事故で日本将棋連盟が要望という話だ。俺は将棋がとても好きというわけではないけれども、たかだか事故の表現に将棋倒しを使ったからといって、将棋に悪いイメージを持つわけがない。それに上に書いたように、表現としての歴史もけっこうある。今さら否定するようなものなのだろうか。ただ一方で思うのは、事故の名前として一般的になると、将棋倒しという遊びは不謹慎だ、なんて言い出す人が出そうな気がする。日本将棋連盟はこれを恐れているのだろうか。さすがは二手、三手先を読む人達だ。