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「ダークツーリズム」★★★☆☆

Rwandan Genocide Murambi skulls.jpg"Rwandan Genocide Murambi skulls" by taken during the official visit of US Rep. Frank Wolf - http://www.house.gov/wolf/issues/hr/sudan/caphotos.html. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.

ダークツーリズム(英語: Dark tourism)とは、災害被災跡地、戦争跡地など、人類の死や悲しみを対象にした観光のこと。ブラックツーリズム(英: Black tourism)または悲しみのツーリズム(英: Grief tourism)とも呼ばれている。
ダークツーリズム - Wikipedia: フリー百科事典 (2015/09/02 22:16 JSTの最新版)


わざわざ人類の負の遺産的なものを見に行き、何かを学ぶという観光らしい。国内の行き先として有名なものとしては原爆ドームがあり、新たなる行き先として福島第一原発がある。なんだかんだ言っても実際にその場へと行くというのは、自分の体験として意識に訴えてくるものがあるので、学ぶ機会としては悪くない。だが一方でダークツーリズムの対象というのは何かしら不幸な出来事があった場所であり、そこを観光地化すると他人の不幸で金儲けということにもなる。そして出てくる不謹慎厨。さすがにアウシュビッツ博物館のミストシャワーは笑ったが。

個人的に気になるのは、ダークツーリズムの消費期限はどれくらいなのか、ということだ。例えば悲惨な災害の跡地で有名なポンペイ。埋もれた死体が腐ってできた空洞に石膏を流し込むことで、そこにいた人の石膏像が作られて配置されている。これが数十年前に起きた災害だとしたら、こんなことが出来ただろうか*1。おそらくポンペイへにやってきた人々は、災害の悲惨さを学びに来たのではあるまい。これは戦争の跡地でも同じことが言える。トロイ遺跡周辺では木馬が売られているが、これは広島でリトルボーイ商品を売るようなものじゃないだろうか。

ダークツーリズムになりうるものについて考えると、自分たちは被害者だと思っている人達がいるかどうか、というのが重要な気がする。先の例で言うならば、広島がアメリカの領地になっていたならばリトルボーイもエノラ・ゲイも商品化されているに違いない。事実、ラスベガスにある核実験博物館で一番売れるお土産は「リトルボーイのピンバッヂ」とのことだ*2。ダークツーリズムの説明として「人類の死や悲しみを対象にした」と書いてあるが、実際のところは「身内の死や悲しみを対象とした」というの正しいのかもしれない。

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*1:空洞が作られるのに◯年かかる的な物理的な話は置いておけ

*2:chinesedragon.co.jp » 「リトルボーイのピンバッヂ。」No More! HIROSHIMA! 再考