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「護民官」★★★☆☆

護民官(ごみんかん、tribunus plebis トゥリブヌス・プレビス)は、紀元前494年に平民(プレブス、プレプス)を保護する目的で創設された古代ローマの公職である。プレブスのみが就くことのできる公職であって、身体不可侵権などの特権をもった。近現代において新聞名にも使われる「トリビューン」は、この官職に由来する。
護民官 - Wikipedia

評価:★★★☆☆


護民官の道探し/Civic Wayfinder》のせいで「護民官」という公職を長らく警察官と似たようなものだと思い込んでいた。名前的にも能力的にも道を尋ねたら教えてくれそう程度なイメージしか無いし。そして護民官がどのようなものか知って思った。“Civic”を「護民官」と訳すな。漢字だけ見たらそこまで悪くないが、ローマの公職として一般的に使われている名称を転用するのはどう考えてもおかしい。もし護民官をカード化するならば、きっとカウンター能力を持っているに違いない。

この護民官はその名の通り、もともと平民の権利を守るために創りだされた存在であった。何時の時代のどの場所でもあるように、ローマにおいても貴族と平民の格差は広がり、平民は弱い立場にあった。そこで自分たち平民の代表として護民官を作り、権力を持った貴族に対抗できるよう強い権限を与えたのであった。一つが拒否権であり、元老院や執政官など、ほとんどの決定を無効化することが出来た。そしてもう一つが身体の不可侵権という絶対的に安全な立場を保証されていた。まさに貴族に対して剣と盾を構えた状態といえる。

しかしそんな護民官も結局はローマ史上の中でも稀代の詐欺師*1である、アウグストゥスにうまいこと利用されてしまう。ただでさえ立場の強い人間がこんな権限を持ってしまったらどうなるのか。もう誰にも止められない。こういうのを見ると、何に関しても一つの特権を誰か一人に渡す時は、その権限を最大限に利用したらどうなるのか充分に考えてからでないといけないと思い知らされる。